FICTIONS >> チョコレートカスタマイズ >> 2.チョコレートカスタマイズ2
全般的に、フィクションです
最新更新日時: 2011年12月31日 18時06分
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1.まず さいしょに チョコレートがどうやってつくられるのか を 見てみる事にしよう | |
チョコレートの原料はカカオだと言ったが 古代アステカの時代から カカオの加工ほうほうは きほんてきにへんかしていない いや、本質は、まったく変わらない とまで言ってもいいかもしれない カカオはまず 瓜状の大きな実から どろどろの白い種をとりだして 発酵させ、火で焙り、天日で干す この発酵と、焙煎が、豆に微妙なががくはんおうをおこしあの われわれを虜にする風味になるのだ. 発酵と焙煎をおこなうもので 有名なのは中国のウーロン茶だが いずれにせよ 独特の風味のためのかがくはんのうは カカオにも欠かせない |
2.焙煎されたカカオは 荒く砕かれ、カカオニブ(cacao nibs)になる | |
アーモンドやコーヒーも 焙煎を行うたべものだが カカオの精製は、よりふくざつだ! これをして、リンネが、カカオを 神々のたべもの(テオブロマThe Food of God)と命名したのもうなづける カフェインなどのアルカロイド(えんきせいのゆうきかごうぶつ)の一つである テオブロミン の名は テオブロマからなるが 地球上で豊富に摂取できるのは カカオだけだ この稀少さのからくる芳香が 古代のひとびとを 引きよせたのにちがいない! ある人の説では カカオの豆を ぐうぜん火にくべて 良い香りがし チョコレートの製法をおもいついたという 焙煎されたカカオは 荒く砕かれ、カカオニブ(cacao nibs)になる |
3.カカオを砕いたものです 個人輸入しました。 | |
「てことで、こんなこともあろうかと、 カカオニブを用意しておきまちたよ。長女」 といって、ともだちは、ちゃいろい あぶらのすこし浮いた 小さな紙袋の中から 木の実をくだいたような ガーナ産の ニブをとりだしました それは 魔法のような 特殊な匂いで キッチンをつつみこみます 「な、なんなんだよこれ!」 「カカオを砕いたものです 個人輸入しました。 昔のアステカの民も、まあこんな感じでニブにしたと思いなさい」 |
4.これじゃ縄文人の ドングリクッキーみたいだな | |
長女はその魔法のかけらを ひとつまみ 手に取って おやじに 言います 「これじゃ縄文人の ドングリクッキーみたいだな」 「あのホットプレートで焼くやつね。でもまあごらんじろ!ホラ、匂いはどうだい?」 「ン、これはまんまチョコレートだな」 「けど、かじれば?」 「にがい!」 |
5.スペイン人が来襲する前のアステカの民は こんな味を どろどろにして のんでいた | |
めをばってんにして 舌をだす長女よ その通り スペイン人が来襲する前のアステカの民は こんな味を どろどろにして のんでいた しかしそれがたくさん飲めたのは一部のにんげん 貴族と戦士たち 選ばれた人だけだ このにが汁が、人に活力をあたえることを アステカの民は知っていた 恐らくそれは カカオに含まれる カフェインと テオブロミンのせいではないのか 「まあいくらか香辛料はまぜたようだが ベースは こんな味だった んだ」 |
6.これじゃあ粘土をくちにふくむようなものだな。 ブタのえさにもなりゃしねえ! | |
長女は かじったニブを ステンレスの流しにはきだし 大王製紙の エリエールカロリーライトキッチンタオル でくちをふいてから 「これじゃあ粘土をくちにふくむようなものだな。 ブタのえさにもなりゃしねえ! こんなもの飲むやつら、 ほろびて当然だ とも思うぜ」 と言う。 確かに 甘い と 思っていたものが 苦かったショックは 大きいものだ わたしも うまれてはじめてとき 納豆は甘そうだ とおもって 食べたら苦いし くさっている(人によっては発酵しているというが)ので あれから もう何十年も食べてない 納豆は にがくて まずいものだ! |
7.大塚製薬のポカリスエット だと思っていたものが 米のとぎじるだったら | |
そうでなくとも 例えば石垣食品の ミネラル麦茶だ と思っていたものが 桃屋の麺つゆを二倍に薄めて 冷やしたもので もし それを一気のみしてしまったら と思うと 大塚製薬のポカリスエット だと思っていたものが 米のとぎじるだったら それを一気のみしてしまったら と思うと ぞっとする わたしたちの多くは 松竹芸能の 安田大サーカスのような お笑い芸人ではない 長女もそれは おなじだ だから、長女が、歴史から鑑みても チョコレートの民に うらみがましいことをいって のちの人びとを傷つけることがあったとしても 言葉でのことなら 今は しかたがないのかもしれない |
8.「ん さ、砂糖? 甘さ?」 そう!、砂糖だ! | |
実際、アステカの民は にがじるを、よりによって器から器にうつして わざわざ 泥遊びのように 泡立てて のむのだから 初めて見る人は めんくらったにちがいない しかし 実際 粘土(ベントナイト:bentonite)をおやつにしている人もいるしだな、 けれども 「ウンまあいいか。で、長女、これ(カカオニブ)に足りないものは なんだ?」 「ん さ、砂糖? 甘さ?」 そう!、砂糖だ! ともだちは長女をゆびさし 身を乗り出してから後 コップに一杯お湯をいれて うがいをして また一杯 こんどは砂糖をひとつまみ いれて それを のんだ |
9.甜菜(Sugar beet)が発見されるまで、砂糖の原料は、サトウキビ(甘蔗:sugarcane)だけだった | |
ゴクリ! チョコレートにたいせつなもの、二つ目は砂糖だ 甘さ、というものは、古来 たいへん ぜいたくなものだった とういうのも 甜菜(Sugar beet)が発見されるまで、砂糖の 原料は、サトウキビ(甘蔗:sugarcane)だけだった このサトウキビは栽培の北限を北緯30度 に持ちこれは いわゆる「ヨーロッパ」といわれる国々は ひとつもあてはまらない その頃、砂糖はヨーロッパでは育てることのできぬ 種だったのだ! この地理的な状況が、ヨーロッパを 近代世界の脳髄にした 原因の一つと なった |
10.砂糖はしばらく貴重品 だったし、これも教会が管理して、薬として扱われていた。 | |
「砂糖をもたらしたのは十字軍、これもスペインを征服したのと同じ カソリックの名を冠した軍勢だ。けれど、砂糖はしばらく貴重品 だったし、これも教会が管理して、薬として扱われていた。 小学館のうる星やつらで竜之介のお父さんが、ケーキを食べながら 「これは大人のくすりじゃ」って言ってたの憶えてる?」 「としがばれるぞ」 「甘さ」というのは はちみつからもとれたが 白く洗練された甘さというのは 生命のエッセンスであるとともに カソリックなんかの 豊かさの象徴(The Symbol of Wealth) なんだったんだよね」 「ナンダッタ?」 |
11.カカオに砂糖を入れるというのは 今ならさしずめ キャビア(caviar:イラン産3万)にドンペリ(Dom Pérignon:30万円(銀座:ゴールドラベル))をかけて、大トロ(キロ4万)をシャリのかわりにして 作る 寿司のようなものだ | |
ところで、スペインに渡って来た当時、カカオも、負けず劣らぬ 高級品 だったのだ なぜなら カカオの栽培の北限は 北緯20度とより狭い つまり ヨーロッパで、カカオを栽培する事は ぜつぼうてきだ! カカオに砂糖を入れるというのは 今ならさしずめ キャビア(caviar:イラン産3万)にドンペリ(Dom Pérignon:30万円(銀座:ゴールドラベル))をかけて、大トロ(キロ4万)をシャリのかわりにして 作る 寿司のようなものだ |
12.チョコレートに砂糖を世界で初めていれてのんだのは スペイン”カソリック王”カルロス一世 | |
「まずそうだな」 「試してもいないのに!」 チョコレートに砂糖を世界で初めていれてのんだのは スペイン”カソリック王”カルロス一世とされているが 彼が行いたかったのは 恐らく世界の頂点であることのあかしだったろう |
13.チョコレートははじめ、豊かさの象徴(The Symbol of Wealth) として、スペインに独占的に流れ込み | |
「しかし、こんなものが、どうやってコンビニで手に入るようになるわけ?パパ」 「そうなんだ チョコレートははじめ、豊かさの象徴(The Symbol of Wealth) として、スペインに独占的に流れ込み やがてヨーロッパの貴族たちのあいだで流行した。 けれど、 それは今ぼくらが知っている、チョコレートとは違うものだ。 淡い恋心を伝えるような手段に使える スイートなチョコレートとは違うものだ |
14.「甘さ(sweetness)」を、稀少品(luxuries)としてでなく、嗜好品(fixes)として 手に入れたところから、ほんとうのチョコレートの歴史は始まる | |
「甘さ(sweetness)」を、稀少品(luxuries)としてでなく、嗜好品(fixes)として 手に入れたところから、ほんとうのチョコレートの歴史は始まるのだが、 その趣向品となるチョコレートに必要だったもの、それはなんだろうか? 長女」 「ん、なんだよそんなのわかんねえよ」 ともだちは白い歯をみせてから 娘にいった 「それは 大量のさつりくと 黄金なんだ!」 |