FICTIONS >> クリップルクリーク! Up On Cripple Creek
全般的に、フィクションです
最新更新日時: 2011年12月31日 18時06分
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1.はじめにそいつを見つけたのはヨハネだった、 | |
はじめにそいつを見つけたのはヨハネだった、 こいつもまたグレイトな男だったが、グレイトだけに、もっとすぐれたやつがまもなく現れるだろう、 ということを知っていた。 そいつはでかいいなごを食い、花の汁を吸っていきていた。 体中はラクダの毛皮でモサモサで、巨漢だったが心はやさしかった。 だがぶっきらぼうだった、 バカな女なんかが自分のあやまちなんかを言いに来ても はなであしらったし、 ときには泣かしてしまうこともあった。 |
2.俺にいいかっこうをして、救われるなんて、だれから聞いんだ?このまむしの子らが。 | |
そういった事柄には耐えられないといったふうにヨハネは顔をしかめるのだ。 それよりもっとひどい、ふとっちょのにこにこしたような連中が、 こうべをたれて、ヨハネ様お許し下さい、だとかなんだとか言った。 ヨハネはがまんがならなかったので (いつもそうだ。こいつが言葉を発するのは、がまんがならないときだったから)言った。 「いいかおまえら、これらか言うことを肝に銘じて良く聞けよ。 俺にこうべをたれて、許されるとおもったら大マチガイだ! お前らがそんなことで許されることがらはない。 お前らはまもなく裁かれる、お前らはもれなく裁かれる、 俺にいいかっこうをして、救われるなんて、だれから聞いんだ?このまむしの子らが。 |
3.西から日が昇って東から悪魔がやってきたとしてもお前らは救われない | |
いいかげんにしろ。 お前らは救われない。お前らは救われない。 西から日が昇って東から悪魔がやってきたとしても お前らは救われない そこで最後の日の出を眺めて、きよらかな水でからだを洗い流されたとしても お前らは救われない せいぜい、おまえらにできること この薄汚れた世界で、のうなしの子らとしてお前らに 与えられた特権 それは救われる子を育てることだ。 だが、お前らは救われない。」 |
4.やつらが望んだのは 平和(ピース)、妥協(セツルメント)、協調協調(アライアンス)だ | |
連中の顔は(もちろん)ひきっつった。 そういう言葉をあびれば、くうきのかたまりを、 胸の中に押し込まれたようになってしまう。 やつらが望んだのは 平和(ピース)、妥協(セツルメント)、協調協調(アライアンス)だ そんな笑顔をぶっこわすやつが現れた、それがヨハネだ それからまたヨハネは気が済んだようになって、 少しにやけたつらで、花をひきちぎってその蜜をすすった。 それから 「もっとも」といって、なみいる聴衆に言うわけでもなくひとりでつぶやいていた。 |
5.奴がナンバーワンだ | |
「もっとも、俺の後に来る人物。彼はもっともっとグレイトだ。 おれはそいつの足下にも及ばないだろう。 ナンバーワンは奴だ。奴は収穫者だ。 俺はたんに、実りをもたらすだけだが、 奴の手にかかればそれは刈り取られ、 カスどもは火にくべられるだろう。 それに比べれば、俺はやみくもに水をぶっかけて、 おまえらのような雑草ももムクムクに育ててるだけのただのどしろうとだ。 奴は収穫のなんたるを知っている。奴がナンバーワンだ」 |
6.イエスはこれでいいんだろうと言った。 | |
声はつぶやきにかわっていった。 そのつぶやきは、ヨハネから連中、 連中からヨルダン川を下ってガリラアまでつらなった。 ヒソヒソ、ヒソヒソ、その声はヨルダン川を下ってガリラアまでつらなった。 それで、何もしらない青年が、ある日ヨハネのところに来た。その青年が、彼だったんだ。 ヨハネは彼が自分なんかのところに来るのはおかしい、と言った。 イエスはわけをきいてみて、それは違うんじゃないか、と言った。 ヨハネは、これは本来の逆だ、これは何か間違っている、とイエスに言った。 イエスはこれでいいんだろうと言った。 |