FICTIONS >> 桐壺 2.桐壺の弔いと残されたひとびと >>

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最新更新日時: 2011年12月31日 18時06分
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19.ただ、このひとの宮仕への本意、かならず遂げさせたてまつれ
 生まれし時より、思ふ心あった子で、故大納言は、今際のきわとなるまで、『ただ、このひとの宮仕への本意、かならず遂げさせたてまつれ。我れ亡くなりぬとて、口惜しう思ひくづほるな』と、返す返す諌めおかれましたので、捗々しい後見思う人も亡き交じらいでは、なかなかな事と念いながら、ただ彼の遺言を違えじとばかりに、あの娘を出だし立てはべらせましたのを、お上の身に余るまでの御心ざしの、萬にかたじけなきを、人げなき恥を隠しつつ、交じらわせて頂いて居たのであろうかと、人の嫉み深く積もり、安からぬこと多くなり添ひはべらせていただくに、横様になったようで、遂にかくのごとくなりましたから、かへりて辛くなりました、賢き御心ざしの事を考えますに。これもわりない我が心の闇でありましょう」
と云い終わらないうちにむせかえり、夜はふける。
作成: 2011年01月28日 07時52分 / 更新: 2011年01月29日 23時32分

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