14.命婦はあいつの家につき、門から入ったところであわれな気配を感じやがる。 | |
命婦はあいつの家につき、門から入ったところであわれな気配を感じやがる。やもめ暮らしになってしまったが、あいつのかしづきのため、とかく繕い立てなどして、目易いように過しやがっていたが、闇に暮れて臥し沈みやがるようになれば草も高くなり、野分に荒れる心地もして、月影ばかりが八重葎にも障はらず差し入っている。南面によこし、ばあちゃんはよくものをも言えず。 いままで止まって憂きを、このようなお遣いの(方の)蓬生の露分け入られるのを見るにつけて、たいへんに恥ずかしい心地です と、つとに耐えられなくなって泣きやがる。 |
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