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最新更新日時: 2017年09月30日 13時06分
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Amazon.co.jp: デブの帝国―いかにしてアメリカは肥満大国となったのか: グレッグ・クライツァー, 竹迫 仁子: 本 | |
まいた種子は刈り取らなければならない、というわけだ。健康と肥満についての第一人者であるジャーナリストのクリツァーによると、アメリカでは30年ほど前にトウモロコシ栽培が盛んになったという。アメリカ国民に「欲しいと思ったときに欲しいものを」手に入れさせるために、アール・バッツ農務長官は貿易と栽培の規制を撤廃して、アメリカの食料の価格を下げることにした。その結果、安いトウモロコシがどっさり出回り、日本の科学者が「高果糖コーンシロップ」なる安価な甘味料を開発した。この甘味料は食品をおいしそうな見かけにし、同時に風味も加えられるため、たちまちパンや清涼飲料水など、あらゆるものに使われるようになった。これが脂肪蓄積を誘発するらしいことを専門家は無視した。 クリツァーは、ハーパーズ・マガジン誌の特集から生まれた、彼にとって最初の本にあたるこの啓発書で、大量のコーンシロップ(と、これまた安いラード状のパーム油)が、品質や良心を無視して超特大サイズの「バリューセット」を売りつけるファストフードの販売戦略と出合ったときに、何が起きたのかを詳細に述べている。アメリカの軍医総監は肥満は疫病であると宣言している。今やアメリカ人の約61%が標準体重以上で、20%が肥満だ。目下、2型糖尿病(脂肪と関係がある)は子どもの間ですら爆発的に増えている。著者は太り過ぎからくる体の不調をわかりやすく解説し、意識の低さのために、とりわけ貧困層がどのように肥満に陥っていくかを描く。 本書は肥満を防ぐための良き第一歩だ。著者は一般読者のために豊富なデータを示しながら、状況がいかに緊急のものであるかを生き生きと伝え、私たちがスーパーマーケットの清涼飲料水の棚のそばを通るときに思い出さずにはいられない話を教えてくれる。この本は幅広い読者をつかむだろう。 |
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