9.むねはふさがり、眠れぬ夜をすごした。 | |
むねはふさがり、眠れぬ夜をすごした。いぶせさを吐露したところで、遣いのやつが変な頃にきて 夜過ぎにお亡くなりになりました と泣いて言われ、何も知らず、ただ部屋にこもった。 あいつのガキにもなにかしてやりたいが、こんなときにそばに置く人もおるまいとて、まかでさすことにした。何が起こったのかなんてよく分かっちゃいない、どいつもこいつも泣きくれていて、俺もただ泣いてて、あやしいもんだとガキは見ている。別れってのは、たいてい悲しいものだが、あいつとの別れのあわれさとなると、もう、云う言葉もない。 |
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