FICTIONS >> 桐壺 1.出会いから別れまで >>

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最新更新日時: 2011年12月31日 18時06分
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7.その年の夏、御息所がはかない心地からわずらって
その年の夏、御息所がはかない心地からわずらって、暇をくれというから許さず、ねんごろ常でキトクな体だから、特にその事は気にも留めないでまあ、もうちょいやってみろよとか云ってから4、5日も経つとどんどん弱っていき、泣く泣く今度は母親が来て暇をくれという。かかる折にもあるまじき恥を偲ぶようなことがあるかもしれない、三歳のガキのほうはこのまま留めてあいつだけ出ていきやがらせた。ここまで言われたら、あいつを出さない分けにもいかないし、見送りもできないおぼつかなさは言い様もないことだった。あいつのにおいやか美しいすがたが、面痩せて、気にかかることはとても多いらしく、でもその事をあいつは言いやがることはない。あるか無いかと云った風にヤってるのを見るにつけ、何処から来てそして何処へ向かえばいいのか。泣きながら色々の契りのことを言っては見るが、もう俺の言葉もよく聞きやがらない、 まなざしはたゆげで、ますますナヨナヨとした、気色失せて臥していていったいどういうことなんだか分からない。
作成: 2011年01月15日 22時34分 / 更新: 2011年01月30日 10時55分

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