おおうまるで、いいふらしたみたいな大都市、新宿。 | |
おおうまるで、いいふらしたみたいな大都市、新宿。 俺はそのいただきにいて生命活動の頂点にいるものだ。よろこびも悲しみもすべてふたまわり、ねずみ缶のそばをまわって俺たちはぐるぐる、ぐるぐる、ぐるぐるらせんを描きながらもこの東京の中心にいるのだ。人間たちは俺を神とあがめ、次世代のものと俺たちをたたえうやまう。おおう、こみあげるものは何か、怒りか、羨望か、それとも愛か。俺はこの東京の屋根の下にいる。しらぬものはいない。そして誰もが俺を通り過ぎ、俺もちからのながれを見る。猫どもはどぶ川にいて血みどろのたたかいをつづけている。その死肉を鳩どもがたべるためだ。いまだかつてこの東京で天寿をまっとうしたねこはいない。ふらふらになったところを、はとどもがその手足をついばみ、骨は細かくくだかれて川へすてられる。猫が天寿をまっとうしない、と人間がしるのはこういう理由からだ。だれも鳩がその肉をついばむのをしらない。多くの人間は愚鈍で、その意味を知らない。 |
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