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最新更新日時: 2017年09月30日 13時06分
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斜陽
 、山崎富栄との交流をもとに、アントン・チェーホフの『桜の園』をモチーフとして書かれた作品である。太宰の作品は三つの時期にわけられている。初期は『晩年』や『二十世紀旗手』、『魚服記』など実験的な作品群の時期、中期は『津軽』や『走れメロス』、『富嶽百景』など私小説的な作品と古典を土台にした作品群の時期、後期は『冬の花火』や『トカトントン』、『人間失格』など現代を舞台にし、時代の雰囲気を反映させた作品群の時期である。それぞれ戦前・戦中・戦後に対応している。彼は、一九三三年から足かけ十五年の間、太宰治のペンネームを使って作家生活を送っていたわけだから、『斜陽』は晩年の作品にあたる。太宰は、確かに、戦争期にも『右大臣実朝』や『お伽草子』など優れた作品は書いているが、それらは彼を神話化させるには至っていない。太宰の神話作用は無頼派の一人として書いた『斜陽』のジャーナリスティックな成功が不可欠である。「太宰文学の集大成」(奥野健男)である『斜陽』を読解することが彼の文学の限界と可能性を明らかにする一歩にほかならない。

太宰治の「斜陽」 佐藤清文
(喜劇の解読 ─太宰治の『斜陽』)
作成: 2011年01月02日 12時37分 / 更新: 2011年01月08日 11時52分

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